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  1. 加害者との戦い方

加害者を許すな!「中和の技術」に注意

「確かに加害者は悪いんだけどさ、被害者だって落ち度あるよね」「あなたが悪い事したんじゃないの?」といった、心無い言葉や二次被害に、嫌な思いをされた方は少なくないかと思いますが。。。これには、名前があります。

「中和の技術」です。

犯罪者の心理を表したもので、まだ研究段階ではありますが、二次被害で使われる言葉は、この心理を擁護した言葉だから傷つくのだと思われます。

最近、Yahooのキャンペーンがあったり、政府がDVについて、認知を広げようとする活動をしていたりと、進歩がみられてきたこの分野ですが、こちらも、二次被害を認知、防ぐために有用ではないかと思いますので、取り上げてみたいと思います。

「中和の技術」についてのコメント

10月19日(月) 東海テレビ
「前の車に『遅い』と注意…態度に立腹しハンマーで車のガラスを叩き割ったか 63歳男逮捕 車内には2歳児も」

このような事件が報道されるたびに「確かに加害者は悪いが」という断り書きの後「ノロノロ走る被害者のにも(原文ママ)問題がある」という意見がたくさん出されます。ノロノロ運転にイライラさせられることと、相手に危害を加えることは、まったく別次元の話です。どんな理由があれ、暴力的な行動に出たり煽り運転をすることは、絶対に許されないし、正当化できません。

「被害者にも責任がある」論は、犯罪者が使う詭弁であり、「中和の技術」と呼ばれる反社会的な認知の歪みの代表的なものです。被害者の非を持ち出して、自分の責任を中和しようとするのです。

したがって、被害者にも問題があると述べる意見は、犯罪者の認知をそのままなぞった危険な理論であり、到底許容できるものではありません。どんな断り書きをしても同じです。自分の「反社会的認知」に気づきそれを修正する努力をしないと、無意識的に被害者を責め、犯罪を擁護していることになります。(原田隆之 筑波大学教授)

「前の車に『遅い』と注意…態度に立腹しハンマーで車のガラスを叩き割ったか 63歳男逮捕 車内には2歳児も」

「中和の技術」とは

中和の技術については、サイクスとマッツァという人が、犯罪者の心理として提唱したものです。大きく分けて5つあり、これによって加害行為へのハードルを下げていると考えられています。→参考になる論文

  • 責任の否定
  • 加害の否定
  • 被害者の否定
  • 非難者の非難
  • より高次の忠誠心の協調

「不可抗力だった」が1番目や2番目、「被害者も悪い」は3番目、「そういうあなたは完璧な善人なのか」が4番目でしょう。

こうした「論点をずらし、社会的な倫理を中和する」ための手段が「中和の技術」です。そして、これは軽犯罪ほど顕著になるようです。

そして、防犯が非常にやかましく言われる世間では、被害者=防犯対策をちゃんとしていなかった、だらしない人というイメージを持たれてしまいがちです。また、被害者=何の落ち度もないのに、運悪く被害に遭ってしまった可哀想な人であってほしい、という世間の幻想も存在します。

おそらくですが、多くの人が「中和の技術」に乗ってしまうのは、軽微な違反行為をしたことがない人が、ほとんどいないからだと思います。つまり、自分も何かしらの違反者・加害者だからこそ、被害者を見ると、無意識に良心の呵責を刺激されてしまうのだ、という仮説です。
そして、「何の落ち度もない被害者」を求めてしまうのも、そうした良心の呵責を刺激しないよう、絶対にありえない都合のいい設定を作りだしている、と言えるかもしれません。

ですから、本当は二次被害で落ち込んでいる場合ではなく「犯罪者を擁護するのか!」と怒らなければならない場面だと言えるでしょう。

「中和の技術」に勝つには

理不尽なことですが、現在の日本では、証拠を提出しないと加害者を罪に問えません。そして、証拠は簡単に失われますし、加害者が持ち去ったり、破棄したりすることも往々にして起きます。

また、被害を訴えても傍観者から「本当に起きたのか?」と疑われたり(加害の否定)、「その程度我慢しなよ」「加害者だってわざとじゃないよ」と説教されたり(責任の否定)と、嫌な思いをすることも多いです。また、加害者本人からこのようなことを言われ、メンタルをやられる方も多いです。

ですから、「中和の技術」に勝つには、1人でも多くの人にこの心理を知ってもらうこと、そして、二次被害はこの心理によって起きていることに気づいてもらうことが必要です。

地道かもしれません。また、理不尽な被害に遭っている人に、さらなる苦痛を強いるような結論だと思います。

しかし、先達がたくさんの被害事例を出して声を上げてくれたからこそ、社会に認知されてきたのだと思います。だからこそ、落ち着いてからでもちろんん構いませんので、この「中和の技術」について、多くの人に教えてください。残念ながら、被害に遭ったことがない人にはわからないことですから、被害者、元被害者がやるしかないのです。

幸いにして、今の若い世代ほど順法精神が強く、上の世代のように法律を無視して自分たちの論理を通す、といったことが少なくなってきました。

だからこそ、知ってもらうことが功を奏すると思うのです。

加害者の認知の歪みは、正すことは大変に難しいです。そして、それを被害者本人がやろうとすれば、無理が生じます。しかし、日本には世間の目が存在します。だからこそ、世間に犯罪者の考え方を教え、見つけたら止めてもらうことで、次の世代には二次被害で苦しむ方をなくしたいですね。

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